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大きなヒツジ
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自由への道
2008年 08月 09日 |
人間は 自由な生き物として生まれた後に 色々な出来事で心ががんじからめになって不自由になり 自由を求めながら生きて行かなくてはならないのかも知れない。 それは 魂の救済なのかもしれない。
同棲していたアパルトメントを引き払って スーツケース一つ持って逃げた。肉体的には自由だったが 心は閉ざされて縛られていた。 ただ 救いだったのは 彼が 両親に危害を加えなかったこと。 
その後 一度だけ 電話したことがある。 その時は いつもの静かな声だった。家に帰ったら 何もないがらんとした状態で驚いたこと 私の実家に三回電話をかけて 三度めに 私が家出したのかと 母が訊いたこと そうだ と言ったら
「もう あなたのこと嫌いになったんだから 追うのはやめなさい。」と言ったこと。 君のおかあさんはあいかわらず かなわないよ と笑っていた。

その時 彼の病を 理解した。
しかし 彼の病に寄り添うことはできなかった。
人間はいつも ただ 自分にできること それだけをしていくしかないのだと思う。そして その時点で 私もわずかに病であった。
心は閉ざされたままになっていた。 

東中野にちいさなアパートを借りて ほぼ文無しの生活が始まった。
1983年のことである。
by ovejagrande | 2008-08-09 07:30 | ものがたり |
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